シロアリ被害で、地震で倒壊するリスクが増す!?
能登半島地震で被災した建物にシロアリが侵入
シロアリの群飛シーズンがはじまり、各地から羽アリの飛散情報を目にする機会が増えました。そんな中、先日NHKのニュースでこんな報道がなされていました。
被災住宅でシロアリ被害相次ぐ “余震で倒壊の危険性増す”
2024年6月14日 19時28分
能登半島地震で被災した住宅で活発化したシロアリが発生し、業者に駆除や調査の依頼が相次いでいることがわかりました。専門家は、シロアリの被害が放置されれば余震による倒壊の危険性が増すと指摘しています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240614/k10014481371000.html
報道は、今年1月に発生した能登半島地震で被災した石川県穴水町の住宅でシロアリの被害が見られたというものです。準半壊と判定された建物にシロアリが入り込み、住民の方はシロアリ被害により余震で倒壊してしまうのではないかという不安を口にされていたということでした。そして、専門家の意見として「今後、シロアリが放置されることによって建物の状況が悪くなり、余震の揺れが大きければ、危険性が増す。梅雨のような湿り気が多いほうが増長する可能性があり、シロアリが外を飛んでいないかなど、ふだんの生活の中で注意深く確認するといった、日頃からのメンテナンスが大事になってくる」と指摘されていました。
地震で壊れてから被害に気付いたのでは手遅れ
地震とシロアリ被害の問題は、被災した建物に限りません。被災して構造が露出してしまったことで被害に遭いやすい状況になるのは間違いありませんが、被災していなくても知らないうちにシロアリが入り込んでいる建物も少なくありません。そして、地震で揺れた際に壊れて、はじめてシロアリの被害に遭っていたことに気づくことも多いのです。
下記の写真は、実際に能登半島地震の後に被災地を訪れた際に撮影した写真ですが、大きく壊れた建物ほど、シロアリの被害に遭っている傾向が強い印象がありました。シロアリの被害は土台や根太などの建物の足元に起こることが多く、そこから柱や外壁を伝って建物全体に広がっていきます。とくに構造部材の接合部にシロアリ被害があると、より家が倒壊する危険性が増します。
倒壊、半壊した建物の多くでシロアリ被害が確認できた。
倒壊した建物のほとんどがシロアリ被害に遭っていた
過去の震災で地震とシロアリ被害の関係について検証された事例があります。それが1995年に起こった阪神淡路大震災の際の調査です。調査は日本建築学会近畿支部によってなされたもので、神戸市東灘区におけるシロアリ被害があった場合となかった場合の建物の損壊状況を調べたものです。
グラフを見てわかるとおり、シロアリ被害(蟻害)や腐朽の被害があった建物のほとんどが全壊しており、被害がなかった建物は全壊を免れているケースも少なくないことが見て取れます。シロアリ被害と震災時の倒壊リスクには明らかな相関関係があり、正しくシロアリ対策がなされているかどうかは、命と直結する問題だということがあらためてお分かりいただけるのではないかと思います。
調査の詳細は下記のリンクをご参照ください。
蟻害・腐朽の有無と被害の関係。
兵庫県南部地震による木造家屋被害に対する蟻害・腐朽の影響↓
https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_10507363_po_ART0009526703.pdf?contentNo=1&alternativeNo=
安心安全で効果が長持ちする「ホウ酸処理」
では、“正しいシロアリ対策”とはどういうことなのでしょうか。“正しい”というのは、一言でいうと、防蟻効果が長期にわたって持続することだと考えます。現在、日本で主流となっている合成殺虫剤処理による対策の場合、防蟻効果は数年しか続かないため、数年毎に再処理することが前提となっています。しかし、新築時ならともかく、再処理時は構造材が壁の中に隠れてしまっている場合が多く、わざわざ壁や断熱材を剥がして再処理するのは現実的に困難です。だからといって、床下だけ、見える部分だけを再処理するのでは中途半端であることは否めません。
それに比べ、ホウ酸処理であれば一度処理すれば水に流されない限り防蟻効果は長期にわたって持続します。自然素材であることから、既存の住宅でも住まい手の健康に影響を及ぼす心配がなく、安心して処理することができます。例えば、構造材が露わになるスケルトン改修の際にホウ酸処理しておけば、安心がずっと続くことになります。正しいシロアリ対策は、地震の際に住まい手の命を守ることはもちろん、資産価値を維持するという意味でも、重視すべきことなのだと思っています。
新築時やスケルトン改修時はホウ酸処理する絶好の機会。
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